10.高橋恵,他.採血室におけるトラブルの解析と対策.第64回 日本医学検査学会.2015.5.福岡.
(抄録抜粋) 採血室におけるトラブルの解析と対策
【目的・方法】採血室では血管迷走神経反射(VVR)や神経損傷,痛み・痺れ,転倒などのトラブルが起こる.また,採取検体の凝固・溶血による再採血,患者より採血手技や採血室に対する意見も頂く.より安全な採血のために,2013年4月〜2014年3月の1年間におけるトラブル記録の解析に基づく改善策の検討を行ったので報告する.
【結果】
患者の体調不良等への対応記録件数は58件,内訳としてVVRが40%,採血前から体調不良35%.全採血患者に対するVVRの割合は0.01%(22件/237732名)で,その約半数が初診患者.
患者からの相談件数は119件(約0.05%)で,うち痛みが約0.02%,痺れが約0.01%.
転倒件数は5件で,原因はてんかん,車椅子からの転倒.
採血手技や採血室への意見は,苦情16件,要望9件,感謝5件,提案2件.
止血が不十分で衣類を汚した件数は,52件(約0.02%).
凝固・溶血などによる再採血は,254件(約0.1%).
採血者51名の刺入角度は,注射針で平均15.8度,翼状針で平均14.0度(p<0.05).注射針での刺入角度が20度以上の採血者が採血した患者で,痛み痺れの相談の割合が0.06%と20度以下の採血者の0.01%に比べ有意に高かった.
【結語】凝固・溶血による再採血は最も多いトラブルであり,スムーズな採血ができなかった場合は,止血をしている間確認を行っている.止血が困難な患者には,止血帯を用いる対応も心掛けた.さらに,VVR発生は初診患者が約50%であるので,初診患者や採血間隔が6ヶ月以上空いた患者に体調やアレルギーの確認を促すポップアップ表示およびトラブル内容や数を正確に把握できるようなシステムの改善を今後行う予定である.