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採血室からの学会および論文発表

8.曽根伸治.検体検査システムでの時間管理〜複数システムを連携した採血〜結果報告迄の時間短縮の取り組み〜.第54回 日臨技近畿支部医学検査学会シンポジウム.2014.9.神戸

(抄録抜粋)         検体検査システムでの時間管理

  我々は採血や検体検査の複数システムを連携し,採血待ち時間を短くして迅速な採血体制を構築し,外来迅速検体検査加算を取得している.さらに,採血や検体検査の業務改善の効果を採血待ち時間や1患者の採血所要時間および検体搬送や分析時間などを含むTAT(turn around time)を算出して検証をしている.
【方法】当院では効率的な検査実施および検査時間の短縮を目的として,2008年と2013年5月にリース方式による機器更新を実施した.採血システムでは,採血受付,採血開始および終了時間を記録して,採血待ち時間や採血所要時間などを算出している.検査システムは搬送ラインへの検体搬入時間や各検査の測定開始および結果報告時間を記録して,各検査のTATを算出している.これらのデーターを利用して@新規採血担当者の研修効果の判定,A採血業務での感染対策(患者毎の手袋交換や手指消毒)の影響,B翼状針付採血ホルダー採血の有用性,C機器更新の成果や有用性の検証をしている.
【結果】ヘマトクリット高値や寒冷凝集素保有あるいはEDTA依存性血小板凝集などの患者は,全採血患者の約0.8%で,採血台端末に21Gの採血針でゆっくり採血する指示や特殊な採血管への採血などの情報を表示することで,精確な採血が実施できた.患者毎の手袋交換は,採血所要時間および採血待ち時間の延長に繋がり,針刺し防止の安全装置付き翼状針ホルダーの使用は,採血所要時間を短縮して採血待ち時間の改善になる.各検査項目のTATの推移の調査では,2013年5月の検査機器および採血システムの更新前後で入院,外来ともに結果報告迄の時間が5〜10分短縮しており,更新の成果が確認できた.
【考察】各システムを利用した採血所要時間やTATの算出は,採血時の感染対策による影響の把握や機器更新の成果の判定に有効な手段と考えられた.さらにシステムで算出したデーターは, e-learningを利用したアンケート調査で把握した技師の業務手順と併せて解析することで,業務改善に有用な手順を決める方法として活用していきたい.

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