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採血室からの学会および論文発表

2.曽根 伸治,他.新しいシステム導入による外来採血の効率化.日本臨床検査自動化学会誌 36:325-330,2011.

(論文抜粋)       新しいシステム導入による外来採血の効率化

 当院の採血室では,1日平均968名の患者を安全に誤りなく,待たせずに採血することを基本理念として,採血を行っている.2008年5月に外来患者の増加への対応および過誤防止を目的として,採血台の増設,採血管供給装置および採血システムを更新した.採血システムは,検体検査システムと連携して検査の端末に採血情報を表示し,採血の支援を促すようにした.また,採血情報をダウンロードして採血担当者毎の採血状況や採血の待ち患者数および待ち時間を解析することで,採血室の効率的な運用と,採血待ち時間の短縮を実現した.
 システム更新前の2007年2月19日〜26日(1日平均採血患者数912人)と更新後約2年が経過した2010年2月15日〜22日(1日平均採血患者数1006人)の採血開始8時から14時迄の15分毎の平均採血待ち時間の比較した.2010年は1日平均採血患者数が100名程度多くなったにもかかわらず,最長の待ち時間は2007年の35分20秒から18分27秒に短縮した.また診察前と診察後の患者採血が重なる午前10時過ぎの平均待ち時間は31分から19分に12分短縮,12時頃の平均待ち時間は35分から11分に24分短縮した.システム更新後3年間では1日平均920名の患者の約7割は10分以内に採血が終了した.
 採血担当者毎の採血所要時間は,168秒〜338秒と170秒の差があり,原因として採血する血管を選択する時間と後片付けの手際などが考えられ,後片付けや感染防止対策を含む統一した効率的な採血手順の指導が必要であった.また,新規採用者の採血所要時間は,採血研修開始時が231〜383秒(平均307秒)であり,全採血担当者の平均採血所要時間の231秒より最大で約150秒長かった.3ヶ月の研修で月平均1000人のべ約3000人以上の患者から採血することで,平均採血所要時間で採血が可能となった.このことより研修期間3ヶ月は,採血に適切な血管の選択や感染防止対策などを手際よく行なうためにほぼ妥当な期間と考えられた.

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