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東大病院検査部の歴史
1953年〜2004年

   昭和30年(1955年)6月15日,東大病院の近代化の一環として臨床検査を中央化して熟練技術者の手により,大量かつ高度の検査を集中的にしかも迅速精密に行い,総合病院としての医療水準を向上させる目的で東大病院に臨床検査部が開設された.

   当初は,一般・細菌・血清・病理組織・生化学の5検査室にすぎなかったが,その後設備の充実に伴って各種の臨床生理,臨床血液,内視鏡などの諸検査室が逐次開設活動を始めた.昭和34年(1959年)4月より2部の組織に分けられ細菌・血清・病理組織・生化学の検体を主として扱う4検査室は中央検査部に,X線診断を含め,患者を扱うその他の検査室は中央診療部に包括された.昭和38年(1963年)7月中央検査部にフォトセンターの業務が新たに加わり,昭和45年(1970年)1月リハビリテーション部が独立するのに伴い中央診療部は解消し,中央検査部は検体検査の第1部と患者検査の第2部で構成されることになった.管理機構としては病院長に直属する部長・副部長(現在は大学院医学系研究科臨床病態検査医学分野の教授・助教授が併任)が全体を統括し,各検査室では教員,非常勤講師はじめ,必要に応じ各領域の専門家の協力を得てこれを運営している.昭和50年(1975年)10月,検査第1部の病理組織検査室が病理部として分離独立した.

   昭和57年(1982年)7月中央検査部に専用の汎用コンピュータが導入されて,まず生化学検査室業務が,昭和59年(1984年)7月からはそれ以外の検体検査部門のシステム化が行われた.昭和58年(1983年)4月医事システムのオンラインシステム化が行われるに際して,中央検査部検体総合受付が設けられて,医事システム,診療科情報システムと中央検査部システムが結合し,相互に情報を利用できるようにして,事務作業の合理化が図られた.また,検体部門では検査機器の発展に伴って作業内容が年々変わってきている.これらの変化に対応するため,昭和58年(1983年)4月一般検査室は,生化学2検査室,従来の生化学検査室は生化学1検査室に改称するとともに作業の合理化が図られた.昭和63年(1988年)1月から新中央診療棟に検体検査部門が移った.昭和63年6月病院科長会の中に検査部運営委員会が設置された.昭和63年10月検査部の機構を改め,新たに検体管理部門,緊急検査室,微量物質分析検査室が設置された.昭和63年11月1日より各科共通の外部委託検査の窓口が検査部となり,これらの検査結果も検査部内の検査結果と同様にデータベースに貯えられ,オンライン検索できるようになった.

   また,医療の24時間態勢に臨み,平成元年(1989年)3月から時間外及び休祝日検査体制を試行し,同年6月より宿日直業務が開始された.次いで平成4・5年度の両年に亘り総合検体検査システムが導入されることになり検体自動搬送検査システムが構築稼働し,検査オーダリングと検査結果報告の迅速化が実現した.また平成5年10月から外来患者の採血を主として検査部技師が担当し,平成6年度(1994)から遺伝子検査室を開設した.平成8年(1996年)10月1日から生理検査総合受付(24)が開設した.平成8年(1996年)各科配属の技師が中央化され,検査部・輸血部・病理部に所属する臨床検査技師系職員は技師長のもとに一元化され一体となって運営されるようになった.平成10年(1998年)に総合検体検査搬送システムが更新されることになり,平成11年(1999年)10月に同システムは完成し稼働した.更新に際して一般検査室と採血室にも搬送システムが導入された.平成11年(1999年)4月より輸血部・検査部の技師による輸血検査の宿日直業務を開始した.

   平成13年(2001年)4月,細菌検査室が感染制御部のもとに移され,検査部・輸血部・病理部・感染制御部の四部は,それぞれ独立した組織ではあるが,技師人事なども含め,お互いに連携をとりながら一体となって運営されることになった.平成13年4月に本院と分院が組織的に統合され,実質的には7月より分院の職員が加わった.同年4月消化器内科に技師を2名派遣し腹部超音波検査を開始した.同年9月22日,新入院棟が完成し,それに伴い各科から検査部への検体搬送は,中型搬送システムを用いて行われることとなり,また緊急検査室へはエアーシューターが使われることとなった.分院との統合により検体数が増加した.さらに病棟に常駐して検査を実施するため病棟検査部門を新設し,平成14年(2002年)12月より2名の病棟検査技師を配置した.平成15年(2003年)4月からは3名に増員した.国立大学病院検査部門の人事交流が開始され,平成14年度(2002年)は東大と筑波大・山梨大との間で,平成15年度(2003年)は東大と筑波大・東京医科歯科大との間で技師を1名ずつ1年間入れ換え配置し,交流を実施した.平成15年7月から病棟採血血管システムが稼動し,検査部で入院患者の翌日分の採血・採尿管を準備して病棟へ配信するサービスを開始した.

   平成16年(2004年)4月,国立大学が法人化になったのに伴い,人事院規則から労働基準法に準拠することになり,公務員は非公務員となり,従来の当直は夜勤として位置づけられ,教員の講師以上は裁量労働制になるなど,労働形態が大きく変化した.また病院の独立採算制推進により,検査においても従来にも増して検査の適正化,医療経済の観点からの効率化が求められるようになった.さらに平成16年度からスタートした研修の必修化と,特定機能病院におけるDPCの導入によってもさまざまな影響が出現している.

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