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肝臓
肝再生,線維化

  肝臓は原因に関わらず障害を受けた場合に再生するという特殊な性格を併せ持つ臓器である.何故再生するか,また,それが過不足なく起こるかについては古くから研究されているが,未だ解明されていない.この現象を明らかにするために,多くの再生因子,再生調節因子が発見されてきた.我々も,lysophosphatidic acid,sphingosine 1-phosphateが再生をストップさせ得る因子であることを細胞レベルで明らかにし報告してきた.現在,これらのリン脂質が,実際に生体内で再生現象に関わっているかについて動物実験により検討している.また,さらに細胞内シグナル伝達物質であるRhoキナーゼが肝細胞の再生やアポトーシスを調節することにより,肝再生に関与する可能性も見出し検討を進めている.

  一方,肝臓の障害が長期に継続すると,原因の如何に関わらず肝臓は線維化を来たし肝硬変症となる.肝硬変症は,さらなる障害の進展により肝不全を起こすこと,また,肝細胞癌を発生しやすいことが問題となる難治性の重篤な疾患である.従って肝臓の線維化を抑制することは肝疾患の治療を目指す上では重要なテーマである.我々は,このテーマの下,線維化において主要な役割を担う肝臓の星細胞について検討し,多くの報告を行ってきている.従来は,線維化の機序を解明すべく様々な因子を明らかにしてきたが,今後は有効な治療法の確立を目指し検討していきたい.

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