HOME
東京大学大学院医学系研究科・医学部 倫理委員会において承認を受けた研究
分光法を用いたアルカプトン尿症の簡便・迅速検査法の開発(承認番号3333-34)
  1. 研究課題名
    分光法を用いたアルカプトン尿症の簡便・迅速検査法の開発
  2. 承認番号,承認日
    平成24年4月17日(承認番号3333-34)
  3. 内容  
      アルカプトン尿症(alkaptonuria)は,常染色体劣性遺伝のアミノ酸(フェニルアラニン)代謝異常症である.主な臨床像には尿の黒変,滑膜や軟骨のほか眼球結膜や耳介などの色素沈着,肩関節,膝関節,股関節などの大関節に発症する関節症がある.病因は,チロシン代謝酵素のひとつであるホモゲンチジン酸オキシダーゼの遺伝的欠損にある.この酵素の欠損により,フェニルアラニンがチロシンを経てアセト酢酸に代謝される過程に異常を呈し,基質であるホモゲンチジン酸(HGA)が尿中に大量に排泄される.尿はHGAが酸化し生成されたベンゾキノン酢酸により暗褐色に変色する.排尿後直ちにアルカプトン尿の暗褐色化は起こらず,多くの患者尿は異常色を呈することがない.さらに,尿が酸性尿や希釈尿の場合はホモゲンチジン酸の酸化が起こりにくく,尿の色調変化の観察が困難である.しかし,アルカプトン尿にアルカリ溶液を加えると,尿中のHGAの酸化が促進され,尿の褐色化が急速に進む.本研究では,アルカリ溶液添加によるアルカプトン尿の暗褐色化を分光法により定量的に評価することを目的とする.また,色調変化と吸収曲線の関連を解析し,アルカプトン尿症の簡便・迅速検査法の開発に役立てたい.(徳原 康哲)
Copyright © 東京大学医学部附属病院検査部. All Rights Reserved.