患者さんへのご案内
検査の流れ
病院での診療のときに行われる臨床検査の進め方と位置づけ,また検査部内での検体の取り扱いについて説明します.
(1)診療における検査オーダ
(2)定期健康診断・人間ドック
(3)検査部での検査の流れ
(1)診療における検査オーダ
病院での診療において医師が行うことは,体の異常の原因となる病気をつきとめ(診断),それを取り除く(治療)ことです.ここで最も大切なのは問診により症状,病歴などの確認,また身体診察などで,検査がいきなり行われることはありません.この情報からある程度病気が予測され,疑われた中からどの病気が考えられるか判断 (鑑別診断) していくために,検査は行われます.検査結果を評価して病気を診断します(確定診断).さらに詳細な検査が必要な場合には追加検査が行われます.診断が確定したことにより,その疾患に対する治療が行われることとなりますが,全身状態の経過観察(症状や病態の改善,治療効果判定,薬による副作用の確認など)などのために,治療が行われていても病気が軽快・治癒するまで診察・検査が繰り返し行われます.
図 検査の流れ
(2)定期健康診断・人間ドック
定期健康診断は,生活習慣病など潜在的に異常があるかを早期発見する目的で検査が行われます.つまり,健康診断で行う検査は(1)と異なり全身の健康状態を確認する検査ですので,特定の疾患や専門的な精密検査ではありません.検査項目に関しては,定期健康診断では,国で定められた基準項目が検査されています.人間ドックでは費用はかかりますが,検査項目が豊富で自分で選択することができるものがあります.
(3)検査部での検査の流れ
検査部では,採血や心電図などの検査を受ける患者さまのためだけでなく,その検査を依頼した医師に対しても,検査を間違いなく素早く行い,正確な検査情報を返却するというサービス業務が主なものです.
以下,東大病院検査室での流れを説明いたします.
医師の診察により診療業務に必要とされた検査は,コンピュータを介してオーダされます.
まず始めに検体検査に関してです.
入院されている患者さまの場合,入院担当医師が必要な検査をコンピュータにオーダすると,その時にコンピュータから検体情報の記載されたシールが発行されます.それを採血・採尿された検体の入った採血管・採尿管に貼り付け,検査部に搬送・受付します.
外来患者さまの場合は,医師が外来でコンピュータからオーダした検査依頼情報が採血室で受け付けられ,オーダされた検査項目に一致する採血管への採血を臨床検査技師・看護師が採血しています.
これらの検体は,検査項目ごとに各々の検査部検査室で受け付け,分析されています.このときに,検体の取り違いや検査内容,採血管の種類(採取法の間違い)など間違いがないかしっかり照合されます.
臨床検査技師は,検体が適切であるか確認,遠心分離などの前処理などをおこない検査を実施しています.検査は,コンピュータ処理により簡便化・迅速化されていて,自動的に行われているものもありますが,細胞の形態を見る検査,手作業で行わなければならない検査も数多くあります.実施された検査結果などの情報が間違いなく信頼性が保証されているかどうか,パニック値(緊急異常値)など生命に関係する異常値がではないか確認されます.このような極端な検査結果の場合,測定のエラーの確認,再検査,前回値との比較,その他のデータとの検証,臨床医との協議(採取方法,患者状態の確認)などを行います.
生理検査の場合,患者自身に検査が行われる点で検体検査と流れが大きく異なります.それは患者さま自身に実際に検査を受けていただくためです.カードまたはリストバンド(バーコード付きなど)を利用して受付が行われた後,オーダされた検査に応じて,各検査室にお越しいただき検査を受けていただきます.また,検査へのご協力が得られないと検査結果に影響を及ぼしたり,必要十分な結果が得られず中断したりすることとなります.
東大病院検査部では,リラックスした条件で検査ができるよう施設や設備のアメニティへの改善をはじめ(採血室も同様に),外来採血待ち時間の短縮,投書箱の採血室設置,ホームページによる情報提供の充実など,さまざまな取り組みを行っております.
東大病院検査部にて各種検査をお受けになるときの方法とご注意点については
東京大学医学部附属病院 検査について をご参照下さい.