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検査結果について -基準範囲,臨床判断値ってなに?-

 検査のデータを判断する際の一般的な目安となるものに,基準範囲(基準値)と臨床判断値があります.検査を受けた人が病気であるのか,問題ないのかを判断するために参考とします.
(検査データにはさまざまな個人差があるため,定期的な健康診断などを通じて,健康な時の自分自身のデータを把握し,そのときのデータと比較できることが理想です.)
 

(1) 基準範囲(基準値)について

 検査部で参考にする基準範囲(基準値)は,統計学的に算出した数値範囲を用いています.
  病気がなく健康な人の集団を健常者とします.その健常者の測定結果を集計すると,通常,下の図のように左右対称の山型になります.このうち極端に高い数値2.5%と低い2.5%を除き,この平均値をはさんだ健常者の95%が含まれる範囲を基準範囲(基準値)として用いています.

 

 健常者の検査結果であるため,かつては「正常範囲(正常値)」と呼ばれていましたが,現在では『基準範囲 (基準値)』が一般的です.正常範囲という言葉には,あたかも「健康状態の指標である」などの多くの混乱や誤解があり,最近では,使用されなくなってきています.例えば,基準値の出し方から明らかなように,健康な人でも5%は基準値からはずれることになります.

 正確な診断には基準値(基準範囲)との比較だけではなく,医師による個別的な診察が必要となります.

(2) 臨床判断値について

 基準範囲は,健常者の検査値の分布に基づき設定されておりますが,特定の疾患や病態,さらには治療の目標などを考慮して算出されていません.これに対し,臨床判断値は,特定の病気の診断基準・有無の判別,さらには治療の目標に用いられるものであり,概念自体が基準範囲と異なります.
  例えば,日本糖尿病学会(空腹時血糖の区分)や日本動脈硬化学会(脂質異常症の診断基準)による基準値です.



(糖尿病51(3):281-283, 2008より抜粋)

(日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版より抜粋.)

東大病院での検査の基準範囲(基準値)に関しての詳細は,東京大学医学部附属病院検査部 基準値表をご参照下さい.

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