生体内での血栓形成は，血液成分のみならず，血流の変化，血管壁の状態にも依存する．これらを考慮したより生理的な検査方法を確立できれば，生体内での血小板活性化状態のみならず，治療法のモニタリングにも非常に有用と考えられる．また，一方で臨床検査法として確立するためには，迅速かつ誰にでも測定可能な簡便さや再現性の良さ，汎用できるようコスト的にも安価であることが望まれる．
　　我々は，これらを満たす検査法としてコラーゲンビーズカラム法に着目している．血小板粘着能測定法（ガラスビーズカラム）の改良型として使用されていたコラーゲンビーズカラム法であるが，近年解明されてきた血小板血栓形成の機序を考慮すると，カラム内での反応は生体内の血栓止血機構を反映すると考えられる．純粋な血小板粘着のみならず，全血成分・血流存在下での血管内皮下組織のコラーゲンに血小板が粘着凝集する反応を利用しているためである．
　　実際，我々の検討では，2種類の異なるカラムを用いて流速を変えることで，ずり応力の異なる環境下での血栓形成が再現することが可能であり，抗血小板剤の薬効モニタリングができることが示唆された．この方法は従来の血小板機能検査法と異なり，生理的条件に近くなおかつ簡便で安価な血小板粘着凝集能検査法として使用できるものと確信し，本法の標準化を試みている．今後，実際の症例検体での検討を行い，血栓症における血小板機能の評価，抗血小板薬の治療効果の判定や，患者ごとの適切な服薬量の決定などへの臨床応用化を目指す．

• Kaneko M, et al.: Evaluation of platelet function under high shear condition in the small-sized collagen bead column. J Lab Clin Med. 146(2):64-75, 2005.
• Kaneko M, et al.: Mechanisms of platelet retention in the collagen-coated-bead column. J Lab Clin Med. 142(4):258-67, 2003.

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