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60周年に寄せて(2015年)
心電図検査室

  最近の10年間で,心電図室の一番大きな出来事といえば2006年の検査室移転であろう.それまで数か所に分散していた生理検査室が中央診療棟2の2階フロアにまとまり,検査受付も24番に集約された.心電図室は移転に伴い,検査ブースが4部屋から5部屋になり,運動負荷装置も増えた.移転した当初は,患者さんから検査室が明るくてきれいになった,場所がわかりやすくなった,などの声をよくいただいた.また,移転と同時に検査結果はペーパーレス化され,検査終了とほぼ同時に診療端末にて心電図を参照できるようになったことは大きな変化といえる.
心電図検査件数は2005年の29,357件から昨年は41,670件に増加している.2016年度には新病棟が開設されることもあり,今後もさらに検査件数は増加するものと思われる.2007年からは臨床研究支援センターの治験検査を受けるようになり,毎年件数が増えてきている.2013年には,心室遅延電位検査がオーダー入力可能になった.
  心電図室はこの10年,講師の竹中先生,廣井先生,大門先生,助教の宇野先生,海老原先生,中尾先生のご指導のもと運営してきた.心電図とホルターの判読,運動負荷検査の実施は,循環器内科のご指導とご協力により業務を行っている.検査はほぼ5名の技師で行っているが,10年前の心電図室を知っているのは,私一人になってしまった.第4部門は部門内でローテーションをしていることもあり,心電図室も毎年メンバーが大幅に入れ替わっている.検査担当者より患者さんのほうがベテランになり,患者さんの昔話にうなずける技師も少なくなってしまった.しかし,若手を中心に多くの技師が心電図検査に携わりながら,一定の検査レベルを維持できているのは,個々の努力とこれまで行ってきたローテーションの成果といえる.最近では,若手が自ら判断して他の業務をフォローしている姿も見受けられ,たいへん頼もしく思う.
  近年,患者さんや診療科からの要望はより多様になっている.また今年度は生理検査部門がISO認定取得に向けて動きだすことになり,検査室も変化の年になることと思う.常に多様な要望に耳を傾け,変化に対応できる柔軟な検査室でありたいと思う.次の10年,検査室がどう変わっているか,楽しみにしたい.

小室 貴子

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