1.P1ユニットの紹介
P1ユニットは,厚生労働省の「早期・探索的臨床試験拠点整備事業」(平成23年度〜)の支援のもと,開発早期の臨床試験を安全で効率的に実施する部署として,当院臨床試験棟に設置された組織です.
2017年に臨床試験棟から入院棟B 12階(21床)に移転し,フェーズ1試験や生物学的同等性試験,観察研究など様々な臨床研究の実施支援を行っています.
2.臨床検査技師の役割
P1ユニットには7-8名の臨床検査技師が所属しています.P1ユニットには医師,看護師も所属しているほか,臨床研究には様々な職種が関わっているため,常に他職種との交流があります.主な業務内容は,血中・尿中薬物濃度測定用検体や安全性評価のための臨床検査用検体の採取(採血・採尿)とその検体処理,心電図検査等です.また,使用する機器の精度管理や物品管理も行っています.通常診療と異なり,研究ごとに必要物品や検体容器に貼付するラベルなどが異なるため,物品の調達やラベル作成などはその都度行います.検体採取や検査は,研究実施計画書に基づいたタイムテーブルに従って分刻みで行わなければならず,確実な手技の習得が必要です.また,薬剤投与後の被験者に変化がみられた場合には,臨機応変に対応する必要があります.またそれらを取りまとめ,現場レベルのマネージャーという役割を担うこともあります.経験を積み,臨床研究コーディネーター(CRC)や,モニター,データマネージャー*に挑戦するスタッフもいます.
3.検査部の貢献
薬剤の安全性評価に用いられる臨床検査(血液学的検査,血清生化学的検査,尿検査等)は,検査部で取り扱っていないものを除き,東大病院検査部で行っています.そのため,迅速な検査結果の報告や緊急検査の24時間対応も可能となっています.また,ISO 15189を取得しているため,高いレベルの品質管理を求められる臨床試験においても,適切に品質保証された測定結果の報告が可能となっています.
*臨床研究コーディネーター(CRC):臨床研究を実施するうえで,製薬企業と医療機関内の各部署,被験者との間を調整する役割 モニター:臨床研究の品質と信頼性の確保のため,被験者の人権,安全性が守られているか,GCPや研究実施計画書に従って適切に実施されていることを確認する役割 データマネージャー:治験・臨床研究におけるデータの品質管理を行う