検査部システムの紹介
1.検体検査システム(LIS: Laboratory information system)
当院の検査部における検体検査システムは,ルーチン検査システム,緊急検査システム,検査電子報告書システムから構成されている.それらは,それぞれ独立したシステムとして稼動しているが,必要なデータは連携できるように設計されている.
2.総合自動検体検査搬送システム(LAS: Laboratory automation system)
LASは,採血室システムと検体搬送システムから構成されており,ルーチン検査システムのサブシステムとして稼動している.採血室システムは,医師からの依頼情報に応じて,採血管にバーコードラベルを貼付し,採血者の元まで準備済み採血管を搬送する.また,採血後の採血管は,採血者のすぐ傍の検体搬送システムへセットすることにより,リアルタイムに採血検体を搬送することができる.採血室内における検体搬送システムでは、一部にエレベータ方式の床上搬送を採用し,職員の動線を確保している.検体搬送システムは,採取された検体を自動的に受付し,必要な前処理(遠心分離,検体分注など)をおこない,該当する分析機に自動投入する.出力された検査結果は,コンピュータシステムが再検査の必要性を判断し,再検査が必要ない場合には,直ちに検査結果を診療システムへ送信している.これにより,迅速な検査体制が可能であり,また検査部職員は再検査が必要な検体に集中して作業できる環境となっている.この検体搬送システムは,血液検査エリア,凝固・血糖検査エリア,生化学検査エリア,そして尿検査エリアから成っており,これら(尿検査エリア以外)はトータル搬送ラインシステムとして,効率的に運用されている.ただし,尿検査エリアは採尿室に直結しているため,設置場所としては独立した形となっている.
3.検査電子報告書システム(LRS: Laboratory report system)
検体検査結果の大部分は,数値データまたは(+)や(-)などの定性データが主であり,それらは検査部から検査結果がでると同時に診療システムにても参照が可能となる.従来は,最終結果を紙の報告書に印刷して診療科へ配布していたが,オーダリングシステムが稼動するのと同時に,検査部での紙の報告書発行は廃止した.しかし,写真やパターン画像の報告,あるいは文字数の多い結果報告などは定型的な結果画面に馴染まないため,しばらくの間は紙に印刷して報告していた.そこで,数年前から電子カルテ化の流れを受けて,これらの報告書をPDFファイル化して,診療端末からWebを介して参照できるようにしている.これにより,各検査室で自由にフォーマット変更ができ,診療システムからの参照も便利になり,また報告書の紛失などとも無縁となった.