T.検査室の紹介
血清中や尿中に存在する各種ホルモン,腫瘍マーカー,炎症マーカーなど生体内の微量成分について測定している.これらの検査データは,疾患の早期診断と治療効果判定の重要な指標となるため迅速で正確性の高い検査結果を必要とする.そのため,十分な精度管理と測定原理上起こり得る非特異反応の解析を行い,信頼性の高い検査結果報告に努めている.
構成人数:2〜3名
U.検査項目
主な検査項目の臨床的意義を示す.
●PSA(前立腺特異抗原)
前立腺癌の診断・治療の経過観察に有効な項目である.
●CEA(癌胎児性抗原)
大腸癌,膵癌,胃癌などの消化器癌で高値となり,良性疾患での陽性率は低い.多くの悪性疾患の診断・治療の経過観察に有効な項目である.
●BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)
心室から分泌されるホルモンで心不全の病態把握に有用な項目である.健常人では極めて低いが慢性及び急性心不全患者ではその重篤度によって顕著に増加する.
●AFP(αフェトプロテイン),AFP-L3,PIVKA-U
原発性肝細胞癌,肝炎,肝硬変,転移性肝癌,妊娠後期の診断・治療の経過観察に有効な項目である.
●CA19-9
消化器系の腫瘍マーカーで特に膵臓,胆嚢,胆管癌で高値を示す.早期癌陽性率は低く,スクリーニングには不適で,治療再発のモニターとして有用である.
●CA125
卵巣癌の診断・治療の経過観察に有効な項目である.子宮内膜症や子宮体癌の補助診断や治療効果判定にも有用である.
●KL-6
間質性肺炎と非間質性肺炎の鑑別,質性肺炎,過敏性肺臓炎,放射線肺臓炎などの活動性の評価,肺の線維化をきたす一部の感染症の診断などに有用である.
●TSH,FT4,FT3,TRAb
甲状腺(エネルギー代謝を調節する役割)の疾患の機能検査と病因検査に有用である.
●PCT
敗血症(細菌性)の鑑別診断および重症度判定に有用である.