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60周年に寄せて(2015年)
病棟検査部門

湯浅 薫

  病棟部門は2002年に医療の標準化委員会の要望により,臨床や患者のニーズに対応するため設立された.開設当初より,当部門は検査室と病棟のスムーズな意思疎通と精度の高い検査実施に努めてきた.また臨床の要望や検査部の体制に合わせた変化にも,柔軟に対応してきた.現状は1名の臨床検査技師が常駐する体系を基本とし,業務量に合わせ生理検査室からの支援を受け円滑に業務の実施を行っている.
現在の業務内容の動向
  業務内容は,2010年に救急救命センター・こども救命センターが都の認可を受けて以来,
神経系検査項目が増加している.設立当初の脳波検査は年に200件程度だったが,現在は600件以上に増加している.重症患者の増加や小児患者の増加により,検査の質の向上や臨床現場での適切な判断も求められている.
  新規導入された項目は,2013年より新生児聴力検査が導入された.現在の実施数は年間500件程度実施されている.また,病棟部門の設立当初より実施されていた長時間ビデオ脳波も精神神経科も加わり,定期的な検査として実施され,当院のてんかん検査の充実へ貢献しているものといえる.

検査件数の変遷


現状と今後の展望
  病棟部門が開設されて以来,チーム医療の一員として他のメディカルスタッフと協力して業務をおこなってきた.2005年には救急業務協力者として表彰していただくなど,病棟のメディカルスタッフとしての臨床検査技師も理解されるようになった.
  今後は新病棟の開院に伴い,重症患者や急性期患者の増加も予測さるが,今後も病棟検査は速やで質の高い検査の実施が期待されると考える.したがってチーム医療の一員としてより臨床検査技師を理解してもらい,そして臨床支援に積極的参入を行っていくことが望まれる.また,開設当初の理念を忘れず検査部全体の支援の下,患者さんの立場に立ったサービスの提供を行い,検査部と臨床の隙間を埋める存在として双方に有用な部署となるよう日々努めていきたい.

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