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50周年に寄せて(2005年)
呼吸機能検査室この10年の変遷と展望

滑川妙子

  この10年間を振り返るために,統計,購入機器,先生方の人事を確認してみた.検査件数はこの10年で2倍になっていた.1998年から新規項目として,簡易睡眠時無呼吸検査を開始し,2004年には600件/年を実施するまでに到っている.呼吸機能検査に関わられた先生は,講師の四元,滝沢,石井先生,医員の須藤,片山,松井,大賀,福原先生の計8名の先生であった.検査件数は2倍になったが臨床検査技師の数は同じである.2倍の検査をこなせるようになったのは,肺機能データ管理解析装置の導入により,検査結果の自動送信が可能になったこと,更には,部門内ローテーションを推し進めたことで,互いに業務をカバーし合えるようになったことがあげられる.
  包括診療によって,術前検査の多くが外来時に実施されるようになり,検査件数が増加の一途をたどっている中,今年に入って,10年間使用した呼吸機能検査機器のガス分析部分が故障し,6月に新しい測定機器を購入した.患者待ち時間短縮のために,修理不能となった機器をボリューム測定のみに使用し,7月からは3台で検査を実施している.呼吸機能の基本となるスパイログラムとフローボリューム曲線は,手術前術後の呼吸機能の評価に実施されるが,化学療法による副作用のチェック,骨髄移植等による肺へのGVHDのチェックのために,近年は,肺気量分画,肺拡散能検査も一般的に実施されるようになった.
  このことから検査件数は,ゆるやかに増えつづけるものと考えられる.患者数が増えることは,多様な病態の患者を検査することになり,低酸素,呼吸困難,喘息発作の誘発など,危険を伴うような事態に遭遇することもありうることから,速やかに医師の判断を仰ぐ必要がある.すぐ側に相談できる医師が常駐していることで,適切な指示のもと検査を実施することができている.
  平成18年には新中診棟移転する.新しい検査室は,呼吸機能検査室,解析室,ボディボックス室,吸入負荷検査室を有している.生理検査のシステム化は更に進み,電子カルテ化になることで結果報告にかかる時間の省力化が期待できる.部門内ローテーションをさらに充実させることで検査件数の増加や新しい検査にも対応できるものと考える.   

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