HOME
60周年に寄せて(2015年)
臨床血液検査

  めざましく進歩する臨床検査のなかで,血液細胞の形態学はいち早く病態を捉えることができる血液疾患診断の重要な分野である.臨床血液検査室では,特に急性白血病が疑われるような異常なデータを認めた場合,速やかに塗抹標本を作製し,顕微鏡下で細胞の分類を行い,臨床に報告するなど,積極的に診療支援を行う検査体制を充実させている.2005年から2014年の間,2回のシステムリプレイスが行われ,現在では,自動血球分析装置5台と塗抹標本作製装置2台を搬送ラインに全てを接続する事により,処理能力の向上,結果報告の迅速化が行われている.現在のシステムでは,平均で血算は7000件/週,血液像は4200件/週の処理を可能としている.さらに,血液疾患の診断,病態の把握,および治療効果の判定などを目的とする骨髄検査80件/月を行っているとともに,診療支援体制として,外来骨髄採取介助の出向,外来骨髄細胞分類を実施している.形態学的に評価な困難な細胞の同定に有用である細胞表面マーカー検査は160件/月を行っている.近年増加している末梢血幹細胞移植(PBSCT)におけるCD34陽性細胞の測定結果の迅速化は臨床に大いに貢献している.
  外来迅速検体検査加算や臨床のニーズにより,検査の自動化,迅速化は依然と比較にならないほど進んでいる.しかしながら,臨床血液検査室には,昔と変わらず,省力化出来ない作業が多いのも現状である.今後も病院の特殊性を理解し,省力化出来ない作業にもこだわり,個々の能力を磨くことにより臨床サービスに貢献したいと考えている.





Copyright © 東京大学医学部附属病院検査部. All Rights Reserved.