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60周年に寄せて(2015年)
P1ユニット

  P1ユニットは,東大病院が,厚生労働省「早期・探索的臨床試験拠点整備事業」(2011年度〜)の支援のもと,開発早期の臨床試験を安全で効率的に実施する部署として設置した組織である(2012年5月竣工).
  そこで,2012年4月に7名の臨床検査技師が検査部P1ユニット配属となり,P1ユニット業務を開始した.うち2名は主に試験の現場監督等を担うマネージャー業務に携わり,他5名は検体業務を担当することになった.しかし,いずれの技師も治験業務未経験からのスタートであった.看護師を始めとする他職種との共同業務の中,毎日が試行錯誤の連続であり,初めての試験を実施したのは2012年10月になっていた.それまで,体制としてゼロから作り上げていく状態であったため,知識を得るため数名が他院へ1か月間の研修に行き,その間に他の者は検査マニュアルの作成,検査機器の購入,機器の精度管理体制の整備,検査体制の整備,採血等の検査手技の向上などに勤しんでいたが,試験開始までにやっておくべき課題は常に山積み状態であった.その中でも特に印象深いのは,試験直前に行うシミュレーションである.試験はタイムテーブル(投薬,採血等の実施すべき項目が時系列に記載されているスケジュール表)通りに行う必要があり,さらに厳しい時間の制約があるため,試験に関わるスタッフ全員で事前に試験の流れのシミュレーションを行った.採血に時間を要した場合など,いくつかの想定に基づいて何度もシミュレーションを繰り返したものである.3年経った現在も,試験薬の静脈投与など初めて対応する試験では事前にシミュレーションを行っている.それでも,初期のころに比べるとスタッフの動きが格段にスムーズになっていることを実感できる.
  2013年4月には新たに1名の検査技師が配属され,8名体制となった.2014年に1名入れ替え.2015年3月には初期スタッフ3名がP1ユニットを離れることになり,4月には新規スタッフが入職した.更に,来年度は退職などで2名が入れ替わる予定である.現在のP1ユニットに所属している検査技師の身分は全員が特定有期雇用職員であり,最長雇用年数が5年であるため,このように入替えが激しく,培った経験を長く生かすことができないのが悩みである.
  最近では,第T相試験では珍しい女性対象の試験や,髄液採取を必要とする試験などを経験した.今後も大学病院の臨床研究実施施設として,更に幅広い試験を手掛けていくことになることが予想される.2017年には新病棟への移転を予定しており,現在の13床から30床へ増えることで,P1ユニットでの業務はますます充実したものになると考える.臨床検査技師としての活躍の場が広がるとともに,新薬開発の貢献につながることを期待している.

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