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50周年に寄せて(2005年)
現在の東大病院検体検査システム

下坂 浩則

検査システム(LIS: Laboratory information system)
  検体検査システムは,初期の汎用コンピュータからオフィスコンピュータ(所謂オフコン)を経て,現在はWindowsサーバで稼動している.そのため,スペースや費用の面で,格段のダウンサイジングを実現している.処理能力も,単純計算で10年前の5倍ほどになっている.オフコンの時代は,1台のサーバで検体検査,緊急検査,細菌検査システムを制御していたが,現在ではそれぞれ独立したサーバとして稼動している.従来,紙面で提供していた検査リポートを端末から参照するための検査画像サーバも独立して稼動しており,また細菌検査システムは部門再編のため感染制御部に管理が移った.業務端末も,専用端末であったものがパーソナルコンピュータを使用しており,市販のソフトウェア利用やWebの活用が可能になり使い勝手が大幅に向上している.

自動検体搬送システム(LAS: Laboratory automation system)
  平成11年に第二世代自動検体搬送システムが完成した.このシステムを構築するに当たり最大の問題は,いかに検査業務を止めずに搬送システムの入替えを行うかということであった.これだけの規模の搬送システムの入替えは前代未聞であり,困難の連続であった.それでも,約半年の月日をかけ,徐々に入替えをおこなった.1日も検査業務を停止せずに.これには,杉岡陽介技師(現腹部エコー主任技師)の努力によるところが大きい.
  第二世代の搬送システムは,検査結果の迅速化,省スペース化,自走車の採用による人の動線の確保,消耗品の自動補給,採血室システムとの検体自動受渡し,尿一般・尿生化学検査搬送ラインの構築,生化学検体のフィブリン析出時の自動再遠心機能など,その他にもいろいろな機能を搭載している.これらの機能をフルに活用して,1日平均外来検査患者数約800人,1日平均入院検査患者数約400人の検査を行っている.

現在,そして次世代へ
  システム班の業務は,上記システムの管理運営以外に,検査部に関する物品物流(在庫)システムの管理,検査インフォメーション,診療システムとの連携および事務部との連携など多岐にわたっており,これらの業務を盛田和治技師と2名でおこなっている.
  現在,盛田技師をリーダーに若手技師中心の検体検査搬送システムを含めた検査部システム将来計画ワーキンググループが発足している.近い将来,東大病院検査部における第三世代と呼ぶに相応しい検査システムの報告がなされるものと思う.第一,第二世代に関わってきた者としては,第三世代でどのようなサプライズが跳び出すのか,とても期待している.

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