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60周年に寄せて(2015年)
外注検査

  外注検査室は,文字通り院内で測定していない検査項目を外部に委託取次ぎしている部署である.その取り扱い検査項目は450項目にもおよび,材料も血清,血漿,髄液,尿,血液,骨髄液,組織,糞便,胸水,腹水など多岐にわたっている.
  院内の各科・部に対して毎年おこなっている検査部アンケートでの要望を基に,検査部で新規に受託する検査項目が決定されるが,部内の検査室で測定しない検査項目は,ほぼすべて外注検査室で扱うことになる.毎年10〜20項目前後を新規項目として契約するため,取り扱う検査項目数は年々着実に増加している.中には1年に1件程度しか依頼がない検査項目もある.そのため,広範な知識の習得が検査項目数の増加に合わせて必要となっている.そこで,業務に必要なすべての検査情報を,外注検査室の知恵袋としてデータベースソフトに登録するようにし,ローティションにより要員が交代したとしても,臨床側からの問い合わせに対して迅速に対応出来るようにしている.

  現在,委託先検査室3社と検査項目ごとに契約を締結している.契約は,2年おきに診療報酬改定のタイミングでおこなっており,ほとんどの検査項目は一般競争入札で委託先を決定している.契約先はいずれもISO 15189の認定を受けた施設であり,今後も外部評価の定まっている施設との委託契約が望ましいと考えている.
  これまで,検体分注についてはすべてマニュアル分注でおこなってきたが,依頼検体数や項目数,問い合わせなどの増加に対応するため,2013年から自動分注装置を導入した.血清量を事前感知できないタイプの装置なので血清検体にしか使用していないが,上位システムと通信して適切な分注管へのラベル自動貼付および設定通りの分注作業を迅速におこなってくれ,戦力として活躍している.
  さらに,一部の臨床試験検体の取り扱いも外注検査室の業務である.臨床試験には臨床研究支援センターによる治験,自主臨床試験による試験の2種類がある.検体を受け取ってから指示書に従い遠心・分注・保存までを行う.臨床試験検体の依頼件数も年々増加傾向にあり,また処理手順も試験ごとに異なっており,毎年複雑なものが増えてきている.そのため,外注検査室では2015年度から1名が増員されている.これら臨床試験検体の対応においては,臨床研究支援センターとの協力が不可欠であり,今後も深くかかわる事になると思われる.
  外注検査業務は,今後も部門内はもとより他部署との連携が必須であることから,より広くコミュニケーションを図り,的確なサービスを提供し続けたいと考えている.

外注検査室 山口ひろ子

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