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60周年に寄せて(2015年)
微量物質分析室

  微量物質分析室では,各種ホルモン検査,腫瘍マーカーなど生体内の微量成分を分析している.検査項目は,臨床のニーズに応えるようこの10年間で17項目から26項目に増え,依頼件数も増加傾向にある.現在測定している項目は,甲状腺関連(TSH,FT4,FT3,TRAb),腫瘍マーカー関連(CEA,AFP,PSA,CA19-9,CA125,CA15-3,AFP-L3,PIVKA-U,CYFRA),間質性肺炎マーカー(KL-6),ホルモン関連(FSH,LH,PRL,HCG,β-HCG,E2,プロゲステロン,コルチゾール,ACTH,インタクトPTH),細菌性敗血症マーカー(PCT),心不全のマーカー(BNP)である.これらの検査データは,疾患の早期診断と治療効果判定の重要な指標となるため,迅速で正確性の高い検査結果を必要とする.そのため,十分な精度管理と測定原理上起こり得る非特異反応の解析を行い,信頼性の高い検査結果報告に努めている.また,イムノアッセイの分析装置の発展は著しく,以前に比べ高感度・短時間で測定出来ることから,当検査室では負荷試験を含むすべての項目をリアルタイムで報告している.臨床側からの依頼件数や測定項目数が増加していく状況に対応すべく全自動搬送システムを用いており,検体が分析機へ投入されてから診療に結果報告するまでの測定時間を監視し迅速報告することで,外来の診察前検査に貢献している.
  又,日常業務をコンパクトにすることで微量物質分析業務に従事できる要員の育成にも努めた.そのため部門内での協力体制を構築し,少人数での業務遂行を可能とした.
2008年に作られた産学連携研究エリアでは多くの共同研究・受託研究を行い,成果をあげた.更に講演会,勉強会,学会などにも積極的に参加し,個々の知識および技術向上に努め,臨床の基盤を支える高度な医療の進歩に対応出来るよう努力している.
  今後も業務の充実,さらには日常業務での実践的な検討や次世代の検査機器・試薬の開発・改良に取り組み,よりよい検査サービスが提供できるよう努力していきたいと考えている.

 大竹 奈都子,飛田 明子

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